遠藤誠建築設計事務所 MAKOTO ENDO ARCHITECTS

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三養荘と沼津倶楽部 <前のページ 次のページ>

三養荘エントランス

三養壮の宿泊室(紅梅)

沼津倶楽部茶亭中庭(アジアン?)

沼津倶楽部宿泊棟ラウンジ(アジアン!)

江之浦測候所にて

2023年7月10日~11日
 
おかげさまで、今年も所員旅行をさせていただくことができました。スタッフも増えたので今回は車2台、梅雨の合間の真夏日に、静岡方面へと出かけました。
 
三養壮>1988 村野藤吾(新館)】 
今回の旅行の目玉は、伊豆長岡温泉の三養壮に泊ること。その大部分を占める新館の設計は村野さんとされていますが、実際は全体構想計画段階で他界してしまい、具体的な形にしたのは後継者たちであったようです。村野芸術の集大成を表現すべく…、残された村野事務所スタッフのプレッシャーは計り知れません。 
その感想はと言いますと、まず、デカい!これまで見た図面からも大型旅館であることは認識していましたが、ここまで広いとは!我々が宿泊した「紅梅」「明石」「若菜」の3部屋が東端だったこともありますが、西端に位置する大浴場や食事をする大広間までの内部通路の行き来は、ちょっとした散歩というほどに。もちろん村野流の柔らかい曲線を用いた意匠や、繊細で軽やかなディテールなどには唸るものがあり、その密度でこの広範囲を設計するには…、やはり当時のスタッフの方には頭が下がります。
 
沼津倶楽部>2016渡辺明(増改築)】
翌日のランチで訪れたのは沼津倶楽部。こちらも既存である数寄屋造りの茶亭を改修しつつ、その増築である宿泊棟も含め、渡辺明さんが設計を手掛けられています。以前の「コラム>」でも触れましたが、渡辺さんはこの沼津倶楽部完成のすぐ後に逝去されてしまいました。この建築、正直そこまで知名度は無い?気がするのですが、私自身ファンである建築家、渡辺明の遺作ということで、必ずや見るに値するものであるだろうと(偉そうですみません)そしてまったくもって予想通り!幸い宿泊棟の客室まで見学させていただくことができましたので、十分な見ごたえがありました。
個人的に一番興味深かったのは食事をした茶亭の方。料理は創作中華系なのですが、何故か東南~南アジアに居るような感じがして…(炎天下だったせいもあるかもしれません)。宿泊棟は明らかにアジアンテイストにしているのですが、既存部の持つこの雰囲気に配慮してのアレンジだったのではないかと。施設全体としてその新旧のバランスもいいな~などと感慨に耽っていると、前から興味があるスリランカのジェフリーバワ設計によるホテル群にもやっぱり行きたい!と思いは馳せるのでした。
 
一番下の写真のは静岡方面に行く途中に立ち寄った、小田原の「江之浦測候所>」。相模湾をバックに参加メンバーが並んでパチリ。
 
今後も年に1回のペース程度では、建築視察を主旨とした所員旅行を続けていきたいと思います。次回はできればスリランカ?でも予算&日程的に難しいか…。
 
※後日、上記沼津倶楽部のアジアンテイストの話が気になって、掲載雑誌の新建築2008年10月号を見ましたが、渡辺さんのコメント含めアジアの「ア」の字も出てきませんでした…、あれっ?
 
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