コラム-2016.01.20 さよならカマキン

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2016年1月20日
1月31日をもって閉館する神奈川県立近代美術館鎌倉館(通称カマキン)に行ってきました。今後すぐにこの建物が取り壊されることは無いようですが、県立美術館としての機能は今月末でひとまず終了します。多分週末は激混みかな?と思い、ウィークデーでの訪問です。(それでも結構混んでました・・・)
実は私が建築を志したのは、高校時代にここ、具体的には池前のピロティを体感した時が始まりです。それから何度もここには訪れていますが、これが最後になるかもしれないと思うと感慨に浸ってしまいます。この日も冬晴れの午後、低い太陽高度から差し込む光が水面に反射し、軒天を奥の方まで美しく照らしていました。
大学卒業後、私はこの美術館を設計した坂倉建築研究所(当時は坂倉準三建築研究所)に入所しましたが、そう聞くとずっと坂倉で働くことを目標としてきたように思われるかもしれません。しかし実際は就職指導の際、研究室の故近江栄先生に「遠藤は坂倉が合うんじゃないか?」とアドバイスいだいたのがその理由。でもだからこそ逆に、坂倉と自分が目指すべき方向性が近いことに確信が持てましたし、この設計事務所やこの美術館には色々な意味での縁を深く感じています。そして独立する際に事務所のデザインポリシーとして絞り出した言葉「そこに在るべくして在るような建築」も、多分この美術館からの影響が色濃くあるんじゃないかと、今になって思います。
カマキン!長い間ありがとうございました。これからも私は建築道に精進します。

ピロティカマキンピロティピロティ2階段中庭カフェバルコニー入口池越し
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